ぼうっと眺めていたら、何故か自然と涙が零れてくるような作品に出会ったことはありますか?
あらゆるジャンルの作品を今まで鑑賞してきましたが、ゆっくりと自分なりの思索に耽ったり、エモーショナルな気分に浸ることの出来るのはやはり「芸術」や「心の機微」に重点を置いた作品ではないでしょうか。
慌ただしい生活に疲れたあなたを、非現実的で静かな美の世界に連れていってくれる切符をお渡しします。
ピアノ・レッスン / ジェーン・カンビオン
19世紀の半ば、スコットランドからニュージーランドへ写真結婚で嫁ぐエイダ。旅のお供は娘のフロラと一台のピアノ。エイダは6歳の時から口がきけず、ピアノが彼女の言葉だった。夫のスチュアートはそのピアノを重すぎると浜辺に置き去りにし、原住民に同化している男ベインズの土地と交換してしまう。ベインズはエイダに“ピアノ・レッスン”をしてくれればピアノを返すというが……。
不倫、欲望、夫のエゴなど、事実だけを並べるとあまり関心できる内容ではありません。
しかし驚くことに、この映画に嫌悪感を抱いたという感想は殆ど聞かないのです。
私自身も不思議なほど、不潔な印象や批判的な感情が湧いてきませんでした。
それは、筆舌に尽くしがたいほどの美しい映像と、まるで夜のさざ波のようなピアノの旋律、そして背徳的ながらも純粋で耽美な愛を育む男女がもたらした奇跡なのです。
あなたの心の奥底を揺さぶり、鑑賞後には静寂という名の余韻を残すこととなるでしょう。
ミツバチのささやき / ヴィクトル・エリセ
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。
引用元:Yahoo!映画
一言で述べるとすれば「無垢」。幼い少女のあどけないながらも強い光を携えた瞳。
少女が見ている美しくも悲しい透き通った世界をありのままに体感できる作品です。
殆ど抽象的な形ではありますが、スペイン内戦後の国内情勢についても緻密に表現されています。
少女の目を通して作品を鑑賞することにより、大人になるにつれ鈍ってしまった感性が眠りから覚め、沈黙の中に鮮烈な美を見出すことができます。
まとめ
センチメンタルな気分になった際や、現実社会に疲れてしまった時は、こういった芸術性の高い作品を観て、一人感傷に浸る穏やかな時間があっても良いのではないでしょうか。
光り輝く小さな宝石のようなお話をそっと心に仕舞っておくのもまた、粋かもしれません。
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地下アイドルやってます。
風呂入らない担当です。
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